「ささのは さらさら~ のきばに ゆれる~♪」
七夕が近づくと、色とりどりの短冊が笹の葉と一緒にサラサラと風に揺れている様子が見られ、夏の到来を感じさせてくれますね。
七夕といえば、織り姫様と彦星様のお話や、
願い事を書いた短冊を笹に飾りますが、それがどういう風に始まったのか、
その由来については、なかなか知る機会がありません。
そこで今回は、
七夕の由来や短冊に願い事を託す理由など、七夕にまつわるお話を分かりやすくまとめました。
日本の伝統を子供に伝えていくときに、
まず自分がよくわかっていないと、きちんと説明できないもの。
ここでは最初に、大人向けに七夕の由来についてまとめ、
最後の章で、子供に伝えるときのポイントを書きました。
七夕が来る前の心準備として、参考にしてみてくださいね。
七夕の由来と意味!子供向けに楽しく伝えるポイント
七夕とは?「たなばた」と読む理由
七夕は、奈良時代に行われていた農村での慣わしと、中国から伝わった七夕伝説が、取り合わさったものと言われています。
奈良時代の日本の農村では、
巫女 (みこ) が神様に捧げる着物を織り、棚に備えて豊作を願う行事がありました。
その時に使われた織り機のことを、「棚機 (たなばた)」といい、
布を織る女性のことを「棚機女 (たなばたつめ)」と呼びました。
七夕と書いて、「たなばた」と読むのは、
「七月七日の夕方から神様に捧げる布を織る棚機女(たなばたつめ)」
からきていると言われています。
というのも、旧暦の7月7日には、棚機女の裁縫の上達を願う、
乞巧奠(きっこうでん)というお祭りがおこなわれていたのです。
また、ちょうどこの時代に、
私たちがよく知っている「七夕物語」が中国から伝わってきました。
この七夕物語と、豊作を願う棚機の行事から、
やがて、たなばた (棚機 → 七夕) という読み方に変わっていったと考えられています。
織り姫と彦星の七夕物語
七夕伝説は、昔の中国で作られたお話です。
子供の頃、幾度となく見聞きしたことがあると思いますが、
改めて、どんなお話かみてみましょう。
天帝(てんてい)の娘である織り姫は、機織りの上手な働き者でした。
やがて年頃になった織り姫を結婚させようと、天帝が見つけた男性は、同じく働き者の牛飼いの彦星。
二人は出会った瞬間に恋に落ち、結婚します。
ところが、仲が良い二人は結婚生活が楽しすぎるあまり、
遊んでばかりで、まったく働かなくなってしまいます。
怒った天帝は、天の川を隔てて二人を引き離し、
年に一度、7月7日だけ会うことを許しました。
それから二人は、その日を待ちわびながら、毎日一生懸命働くようになったのです。
織り姫と彦星の星座
さて、七夕物語に出てくる織り姫と彦星。これは、すっきり晴れた夏の空に輝く「夏の大三角形」の代表的な星に当たります。
こと座の「ベガ」 が、織り姫の星、
わし座の「アルタイル」 が、彦星の星です。
【星図引用:Astro Arts https://www.astroarts.co.jp/special/2006summer/constellation-j.shtml】
七夕伝説で語られているとおり、
ベガとアルタイルの二つの星の間には、天の川が流れていますね!
ちなみに、雨が降って川を渡れない時は、
鵲 (かささぎ) という鳥👇に乗って、二人は会いに行くと言われています(*^^*)
【画像引用:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%82%B5%E3%82%AE】
今私たちが見られる、この「夏の大三角形」と同じ星空をみて、
大昔の人が、七夕物語を作ったこと・・
なんだか神秘を感じますね(*^^*)
笹と短冊に願いを託すのはなぜ?
まず、笹が使われるようになった理由は、笹は天に向かって高くまっすぐ伸びること、
そして、葉が擦れあう音が神を招くと考えられ、
祖霊が司るときの依代 (よりしろ・・神や霊が寄りつくもの) としていたためです。
また、穢れ (けがれ) を移した笹竹を、海や川に流すことで、
清められるとも考えられていました。
笹に願い事を飾るようになったのは、室町時代からで、
里芋の葉っぱに溜まった夜露を「天の川のしずく」に見立て、
このしずくを集めて墨をすり、梶 (かじ) の葉っぱに願い事を書いていました。
当時は、字や習い事が上達するようにと願いを書くものでしたが、
江戸時代には、「短冊に書いたことが叶う」という解釈に変化し、
笹に飾った短冊が、街路に立てられるようになったのです。
これが、短冊に願い事を書いて笹の葉に飾る、
「七夕行事」のルーツとなっています。
七夕を子供に伝えるときのポイント
さて、ここまで七夕の由来や、七夕と笹と短冊の関係をみてきましたが、そのまま子供に説明しても、難しくて分かりづらいですよね(^^;
やはり楽しく分かりやすく説明してあげたいと思うのが、親心。
そこでおすすめなのが、
- 「七夕物語」のお話をする
- 一緒に短冊に願い事を書いて、笹に飾る
- 一緒に夜空を見上げて、織り姫と彦星を探す
この作業を通じて、伝える方法です。
子供はお話を聴くのが大好き!
「七夕物語」のストーリーを語り、想像力が膨らんだところで、
一緒に短冊に願い事をかいて、笹に飾ってみませんか。
短冊は、折り紙を長方形に切ったもの、
笹は本物があれば一番ですが、なければプラスチック製でも大丈夫ですよ。
笹の葉に願い事を書くときの声掛けのポイント
もともと、短冊に書く願い事は、「字や習い事の上達」でしたよね。
願い事くらい子供に自由に書かせていいんじゃ・・?という考えは、
ここではいったん置いておいて、せっかくなので、
上達を願うお願い事を書いてみることにしましょう。
ただ、子供に漠然と「お願い事はなに?」と尋ねても、
- ◯◯が欲しい
- アン◯ンマンになりたい
- 恐竜と一緒に遊びたい
- おこづかいがたくさん欲しい
・
・
など、
物理的なものや現実離れ、運頼みのものが登場しそうですが、
- 自転車に乗れるようになりたい!
- 泳げるようになりたい!
- ピアノが上手になりたい!
のように、できるようになりたいこととか、
今やっていることがもっと上達するような、
自発的な願い事を書くように、導いてあげたいですね。
そこで、こんな質問を投げかけてあげると、
答えにたどり着きやすいですよ:
- ◯◯くんは、なにが上手になりたい?
- どんなことが出来るようになりたい?
- 大きくなったら、なにができるようになってると思う?
短冊を付けた笹をお庭やベランダに飾ったら、
夏の晴れた日の夜に少し夜更かしをして、子供と一緒に夜空を見上げてみましょう!
夏の大三角形を探して、
「あれが織り姫様、こっちが彦星様」
「今日は星がとてもきれいだから、織り姫様と彦星様が出会えたね」
「◯◯くんの願い事が叶うといいね」
などとお話しながら、
子供と一緒に、七夕行事を身近なものにしたいですね(*^_^*)
さいごに、「たなばたさま」の歌を聴きながら、締めくくりたいと思います。
さいごに
私自身がそうだったのですが、子供が生まれたのをきっかけに、日本の年中行事を改めて見直すようになりました。
一つ一つの行事を、今まで深く考えずにやり過ごしていましたが、
まず自分がその風習がどこからきたものなのか、
その由来や目的などを知っておかないと、子供に聞かれた時に伝えられないもの…(^^;
改めて学ぶことで、「こんな意味があったのか!」と、
その習慣ひとつひとつに重みを感じるようになります。
未来を担う子どもたちに、日本の文化をしっかりと伝承していきたいですね。
今年は短冊に書いた願いがかないますように✨